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魚が獲れない

魚が獲れない魚が獲れない
新型コロナ、地震、噴火、大雪、そして戦乱。

 

年が明けて間もないが、物騒がしい世の中だ。

まさか、戦争が勃発するとは想像さえしなかった。

ロシアといえば、日本人にとってエネルギ資源の輸入も重要だが、カニ、ウニ、サーモン、いくら等海産物の輸入は大丈夫なのか心配になる。

 

日本の水産業は深刻な状況に陥っていることはご存知のことと思う。

日本の食卓を彩った魚は、不漁が相次いでいる。

サンマ、サケ、スルメイカ、ハタハタ、シシャモ、イカナゴ、日本中いたるところで魚が獲れないと報道されている。

日本の水揚げ量の減少は凄まじい勢いで衰退している。

1980年代の年間1200万トンをピークに減り続け、昨年は400万トンと最盛期の1/3にまで落ち込んでいる。

 

この原因について日本の見解は、

① 地球温暖化による、海水温の上昇

② 外国船による乱獲

③ 増えたクジラによる食害

④ 海流、海底火山噴火などによる海洋の変化である。

ところが、世界の見方は日本とは大きく違っている。まずは、この4項目について見解が出ている。

 

① 海水温の上昇は日本だけではない。

日本の漁場である北太平洋よりも、海水温上昇幅の大きい北大西洋のアラスカ沖、アイスランド、ノルウェー沖の漁獲量は増加している

② 密猟を除いて、日本の排他的経済水域(EEZ)内にしかいない魚は日本だけが獲る。公海上を回遊するサンマの漁獲はどの国も条件は同じ。日本だけが不漁なのではない

③ クジラの生息数は北太平洋よりも北大西洋の方がかなり多い。

それにもかかわらず北大西洋の水産資源状態は、はるかに良好である

④ 海水の浄化により海中の栄養素が減少し生息数が減ったといわれるが、瀬戸内海のイカナゴは、水のきれいだった江戸時代に獲れていなかったのか。

 

水質汚染に無関係の宗谷海峡でも生息数は激減している日本人が考える原因よりも世界の研究者はもっと大きな問題があると次のように警鐘を鳴らしている。日本人の将来を見据えた計画が甘く、「獲り過ぎ」である。

 

世界の漁獲量を比較すると、北米、ヨーロッパ、オセアニア地区の漁獲量は着実に増加傾向にあるのに対し、日本だけが悪化の一途を辿っている。

かつて日本と同じ不漁問題を抱えていた国々は、国を挙げて水産資源を科学的に管理して資源を保護しているのである。

 

例えば、日本でも多く獲れるサバだが、日本は網に入るもの全てを水揚げし、幼魚は飼料にする。北大西洋では、漁獲枠を定め99%が食用に供される。

幼魚は獲らない。

 

また親魚だけを獲る漁法を取り入れながらも、産卵できる親魚の資源量が持続するよう工夫を凝らしている。

また、小規模沿岸漁業者には、優先的に漁獲枠を配分する、一時的に禁漁にする際に国が補償もしている。

意識の違いにも大きな差がある。

水産資源は誰のものかという問いに、世界は「国民共有の財産」「税金と投入して国が管理するもの」との答えが多い。

日本は、先に獲った者に所有権が有るとしている。

これでは、我先に争って種類、大小、見境なく獲り尽くすことが当たり前になってしまい、水産資源が増える訳がない。

「昔は良かった」「今年こそはと大漁祈願」と言ったところで、科学的な根拠に基づいた対策を打ち出さなくては、魚は減り続けてしまう。

 

日本でも思い切った漁獲量制限の設定、資源回復のための禁漁期間を設定など対策が必要なのではないか。

経済基盤の弱い漁業者には一時的な補助金を支給することで漁業者を保護し、日本の食を守らなければならない。

世界に冠する水産国家の復活を期待し、美味しいお寿司を安く食べ続けていきたいと切に願う。