墳活 in KUMAMOTO
2023.03.01
装飾古墳館(熊本県山鹿市)に併設の公園にて(埴輪さんには乗れません)
皆様こんにちは。飼育員Oです。
最近世間を騒がせたニュースとして、奈良市の富雄丸山古墳から国宝級の銅鏡と鉄剣が出土した、というものがありました。日頃から趣味で全国各地の古墳や博物館を巡ってはおりましたが、主に古代の豪族のお墓である古墳の副葬品として埋葬される銅鏡に、今回のような盾形の物が存在していたのも驚きですし、鉄剣は蛇のように曲がりくねった蛇行剣という物で、なんと長さ2.37メートルもあるというので、これらが今から1700年くらい前の製作物だとはとても思えず、当時の職人の金属加工技術やセンスに脱帽しました。埋葬された人物やヤマト王権との関わり等、まだはっきりと判明していない情報が一つ一つ明かされていくことを楽しみに、早く実際の出土品を見に行ける日が来ると良いなと日々願っております。
さて、あまり周りに同志がおらず常に趣味の墳活(古墳活動)に付き合ってくれるのは夫のみなのですが、最近では一番長く続いている趣味です。何故こんなにも墳活に熱中しているかというと、実際埋葬されているのは誰なのか、当時の人々がどんな思いで古墳を作ったのか、など、しっかり記録が残っているわけではない事柄に思いを馳せることができる、そこはかとないロマンがあるからに他なりません。
また、古墳と一口に言っても、ご存じの通り前方後円墳や方墳、円墳など形がたくさんあって外観もすごく可愛いですが、最近は内部に対して興味を持つ割合が増えました。以前読んだ古墳時代についての書物で「装飾古墳」について触れられていました。装飾古墳とは4世紀末頃から7世紀頃までに造られた、外部や内部に絵画や文様が施されている古墳です。中にはかなり色鮮やかなものも多く、その華やかな装飾で有名な「チブサン古墳」が熊本県にあると知り、今回新婚旅行という名目で行って参りました。
※石室内は撮影禁止のため、こちらは博物館にあるレプリカですが本物と比べてもかなり忠実です。
美術品のごとく華やかで綺麗な内装ですが、なんとこれはおよそ1400~1500年前にベンガラ等の顔料を使用して描かれた絵や文様です。それが現代までちゃんと残っていることに非常に感動しました。それと同時に、保存にも大変気を遣うことと思います。そのため普段から内部を公開している装飾古墳はほぼほぼ無いようですが、この「チブサン古墳」は、土日祝日限定で日に2回、予約者限定で内部を案内して貰えます。私達の他にも3組くらい見学者がいて、1組ずつ古墳の石室内に案内して貰い学芸員さんの説明を各組独り占めできるので、素晴らしいVIP対応だと思いました。日頃の保存活動といい出し惜しみなく公開してくださることといい、市や学芸員の方々に頭が上がりません。
ちなみに、「チブサン」という名前にインパクトがありすぎて由来が気になりましたが、真ん中の可愛いお化けキャラの目玉のように見える文様を女性の乳房に見立てて、病気の治癒や安産等の願いを込めて当時の人々は信仰の対象としており、「乳房さん」という愛称が変化して「チブサン」となったそうです。微笑ましいですね。古墳ではもともと祭祀が行われていたり、あの世でも邪気から身を守り強く幸せに暮らせるように銅鏡や武器などの副葬品を埋葬したり、現代にも繋がる死生観を窺うことができてすごく神秘的だと思います。
「チブサン古墳」は大きく立派な前方後円墳で、芝が大変綺麗に手入れされており、その丸みもとても可愛いらしいです。熊本県山鹿市にあるのでぜひ行ってみてください。
ちなみに「チブサン古墳」の右側面に描かれたシャーマンのような人(古墳を守る番人という説があります)のグッズが欲しいのですが、「チブサン古墳」は何故かほとんどグッズ化されておらず全く見かけないので、ぜひ見かけた方は教えてください!