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ゲーム依存症の恐怖

電車に乗ると、ゲームに夢中になっている人のなんと多いことか。
電車の中だけではなく、車を運転していると、横断歩道で歩きながらスマホをのぞき込むことに熱中している人も四六時中見かける。
他人事ながら、事故に遭遇しないでと思うこともしばしばある。

最近のニュースで「ゲーム障害」という病気を知った。
インターネットを利用した電子機器の急速な普及に伴うパソコン、スマホ、ゲーム機の使い過ぎによる健康被害である。
症状は、決められた時間を守れない、学校、仕事、人間関係構築よりもゲームを最優先するようになる、ゲームをしている時に周囲で何か問題が起きてもやり続ける、ゲームをしないとイライラ、不安が続き暴力的になる等である。

この障害は、アルコール依存症、ギャンブル依存症と同様に、患者の脳内に異常な反応が現れることである。
脳の中でも理性を司る前頭前野の働きが悪くなり、代わりに本能や感情を司る大脳辺縁系に支配され、快楽を求め続け依存状態から抜け出せなくなるのである。

20年程前にベストセラーとなった「ゲーム脳の恐怖」を読んだことがある。
テレビゲームが子供の脳を壊すという恐ろしい見出し付きで発売された。
テレビゲームをしている時の脳波を研究したところ、この時の脳波はβ波が激減しており、これは認知症を患っている人の脳波とそっくりな形をしていることが判明した。
前頭前野は、額の裏側に位置する脳のなかでも重要な役割を果たしている。
考える、記憶する、アイディアを出す、集中する、感情を制御する、判断する、応用する、行動を抑制するなど人間として必要な高度な精神活動を司る。
前頭前野を働かせることは、人間的に成長し、品のある人格を形成することにつながる。
つまり、脳の健康を保ち、元気に発達させなければ、やる気のない、ダメ人間に育ち、やがては社会に適応できなくなってしまうのだ。

最近、世間を騒がせているスマホを使った事件を思い出さずにはいられない。
闇バイトに簡単に反応して、詐欺、強盗、殺人までをいともた易く実行してしまう。
子供のころからゲームに明け暮れ、β波が出ない脳のまま成長し、自分勝手で暴力的で、判断力も削がれ、あとさき構わず本能の赴くまま行動する人間。
すなわち前頭前野が破壊されている人間の仕業であるのではないだろうか。

TVゲームだけが悪い訳ではないと思うが、やり過ぎはいけない。
Z世代と呼ばれる若者の時代になりつつあるので、スマホ、パソコン抜きには生活を維持し難くなっているこの頃である。
今の親に子供とのコミュニケーションの取り方を見直すようお願いしても、共稼ぎが当たり前の世の中では、なかなか出来ないのかもしれない。

電子機器の規制や制限、学校で使い方の教育を検討できないものだろうか。
出産祝いに、絵本を送ることにしている。スマホに子守をさせるのではなく、ほんの少しの間でも、親子で触れ合いながら絵本を楽しんで欲しいという願いからである。