いまさら聞けない「ビールのジャンル」
10月から、酒税法の改定が行われる。
値上がりするのは、ワイン、第3のビール、逆に引き下げられるのは、ビールと日本酒である。
第3のビール派にとっては痛手となる秋である。
酒税改正の度に考えるのが、ビール系飲料の税金の違いである。
酒席の話題に上ることもよくあることだが、知ったかぶりをするのも、されるのも野暮なことだ。
また酔った頭ではその違いは脳に刻まれず、そもそも知らずとも気持ちよく酔えれば良いのだから、覚えるはずもない。
このコロナ禍にはめっきり減った酒席だが、晴れて宴会が出来るようになった時の参考になればと思う。
大きな違いは「原料」と「麦芽の使用割合」である。
「ビール」は、麦芽とホップと水が主原料。
そして使われている麦芽の重量比率が50%以上のものをいう。
副原料を使うことも認められているが、麦芽使用料の5%までとされている。
それに対して「発泡酒」は、麦芽の使用量が50%未満であること、若しくは副原料の使用割合が麦芽使用量の5%を超えるものとされている。
“新ジャンル”とも呼ばれている「第3のビール」は、
①「発泡酒」に麦由来のスピリッツ(蒸留酒)など他のアルコールを加えたもの、
②麦、麦芽以外の穀類(トウモロコシや馬鈴薯、豆類等)を主原料にしたものの2種類である。
しかし何故、このように区分されるのか。
不思議に思う方も多いことだろう。
これは、如何にして納税額を抑え、消費者に安価で、ビールの味、風味に変わりのない飲料を届けるかというビールメーカーの努力に他ならない。
ビールメーカーは下手な小細工で税金逃れをしようとせず、法の下、真っ向から国税庁に戦いを挑んでいるのである。
ビール好きとして拍手を送りたい。
ところが、ビールメーカーも競合メーカーとの戦いであればいざ知らず、それが国相手となると苦戦を強いられる。
技術者がいくら頑張っても、国はルール(法)を操ることに長けている。
税収が潤うようビール好きの国民から税金を少しでも多く徴収しようと躍起になる。
このイタチごっこはいつまで続くのだろうか。
いい加減にして欲しい。
国民は、ビールを安く美味しく飲みたいのだ。
今回の税制改正によるビール系飲料350mlの税額は
ビール 77.00円 → 70.00円 7.00円引下げ
発泡酒 46.99円 → 46.99円 据え置き
第3のビール 28.00円 → 37.80円 9.80円引上げ
酒税法は今後も改正が続くと見られる。
ビールは2023年に63.35円、2026年には54.25円と段階的に引き下げられ、反対に他のビール系飲料の税額は引き上げらる。
最終的なビール系飲料の税額は、54円に統一される。
国は企業の努力に反し、安易な方法で税収増を謀るようだが、世界に誇る日本のビールメーカーを侮ってはいけない。
更なる研究を続けるに違いない。