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アボカドと干ばつ

食卓にアボカドが上るようになってから、どれくらい経つだろう。

米国で寿司ブームが起き始めた1980年代に、カリフォルニアロールと呼ばれるサーモンとアボカドの巻きずしが話題になった頃ではないか。
当時は、野菜でありながら「中トロ」と同じ味がすると人気が上昇し、今では野菜売り場に行けば「メキシコ産アボカド 1個98円」と手軽に買えるようになった。

 

アボカドの原産国はメキシコで中米や西インド諸島、アフリカなど特定の生態系でしか育たなかった。
歴史は古く紀元前1万年前のメキシコの古代人の洞窟で痕跡が見つかっている。

その後、欧米で需要が高まり「森のバター」とも呼ばれる栄養価の高さと食感から世界的に人気が上昇した。
今では亜熱帯地域でも生産できるようになり、世界中どこでも容易に食べられるようになった。

しかし、アボカド栽培の拡大により大変な干ばつ被害が引き起こされた。
アボカドの木を育てるのには想像以上の水がいる。
1キロのアボカドの実を育てるのに必要な水分量は2000リットルにもなり、これはトマトの10倍にもなるそうだ。
大量輸出国でもあるチリでは、ブームに目を付けた資本家が従来の農作物から儲けの出るアボカド栽培に転換し、大量の水と安い労働力を使って儲けに走った。
もともと少ない降水量に加え、地下水を違法に汲み上げた結果、水が枯渇してしまった。
チリの住民は不衛生極まりない政府調達の給水車の水を1日わずか50リットル以下で生活しなくてはならないという。
日本人一人が必要とする水の量は1日200~300リットルであることに比べ、いかに不自由な生活を送っているか想像できる。
そればかりか、手を洗うこともままならず「新型コロナウイルス」が拡大を続けている中、大きな脅威になっている。

また、アボカドはスーパーフードと呼ばれるように、ビタミンC、K、E、ミネラル、カリウム、葉酸の他、カロテンやビタミンを吸収しやすくなる脂溶性栄養分も豊富に含まれている。
その分、アボカドは水だけでなく、土壌の養分も容赦なく吸い上げてしまう。
アボカドを一度育てた土地は痩せ、他の果物は実らない荒れ地と化してしまう。

この現状を見ると、資本主義は豊かさをもたらすだけとは言えないのではないか。
もともと水や土地は無償のものであった。
ところが資本主義は、これら公共物を農民から奪い、金を稼ぐ道具として利用した。
結果、農民は無償で手に入れていたものを買わざるを得なくなり、貨幣を求めて賃労働しなくてはならなくなった。

資本家は貨幣を増やすために労働時間を伸ばして増産し、効率化を追い求める。
そのしわ寄せを労働者に強いる。
人類共通の財産であった地球の資源を、ごく一部の資本家が使い果たし、環境を破壊している。