コロナ禍
世界中に猛威を奮い、衰えを知らない新型コロナウイルスだが、3月30日のニュースにより、更にその恐ろしさを身近に感じた人は大勢いたであろう。
国民に愛されたタレントでコメディアンの志村けんさんがこの感染症で逝かれた。
小学生の時、土曜日のTV番組といえば「8時だョ!全員集合」であった。
他局からはお化け番組と恐れられるほどの人気であった。
志村さんはドリフターズの付き人から見習生、そしてメンバーの一員となり、ぐんぐん人気を博し今では日本のコメディアンの第一人者となって日本国中に笑いを届けていた。
その志村さんが亡くなるとは、なんと悲しく、残念なことであろうか。
謹んでご冥福をお祈り申し上げたい。
志村さんの犠牲により、若者を中心とした新型ウイルス感染軽視の風潮が一掃され、感染拡大の危機感を皆が強くもつようになって欲しいと願う。
この新型コロナウイルスがこれほどまで広がるとは誰も予想しなかったのではないか。
流行し始めの時期、マスクの効能は感染予防には意味がなく、しないよりはしたほうが良いという程度の報道が殆どであった。
今では全く関係のない異業種工場で製造を開始し、手作りマスクの作り方がネットで配信されたり、政府が買い上げ医療機関に支給する事態にまでなっている。
市場に出回る数は未だに少なく、一般市民が入手するのは至難の業だ。
中国で感染が拡大し始めたころ、滋賀県が湖南省に医療用手袋を寄付したことが話題となった。
それが今度は、日本国内でマスクの供給が間に合わない事態に、その時のお礼にとマスク2万枚が届いたという。
マスクの中には「相知無遠近、万里尚為隣」との中国語のメッセージが入っていた。
「親友に遠近は関係ない。万里離れていてもなお隣にいる」という意味である。
世知辛い不安の多い世の中に久しぶりに心温まる思いでいたところ、当社にも有難く、嬉しい知らせが届いた。
10年前から排水管清掃器や小型カメラ等、多くの商品を中国から輸入しているのだが、そのうちの一社から「もしも社員の皆さんにマスクが行き届いていないのであれば、中国国内では供給が安定してきたので寄付させていただきたい」との申し出を頂いたのである。
70年近くお付き合いのある欧米企業からではなく、このようなご親切を頂けるとは思ってもいなかった。
東京オリンピック・パラリンピックの延期、外出自粛要請、数々のイベント中止、飲食店利用者や旅行者の激減など、失望する事態が多く沈みがちなコロナ禍の日本だが、真夏にそよぐ涼風のような出来事であり、感謝の念に堪えない。
それに引きかえ、この国の舵を取る方々の行為には目を覆いたくなる。
臭いものに蓋をし、人気取りのためと思われんかの如く安易に金をばら撒く、挙句に開き直りの不遜な態度。
国民の代表としての矜持はないのだろうか。
マスクの寄贈者からこのようなメッセージが入っていた。「守望相助 共渡時艰」。
「お互い見守って、時の困難を共に乗り越えよう」という意味である。
「自分ファースト」「自国ファースト」がコロナ同様、席巻しているが自分さえ、自国さえ良ければいいという考えは、この状況下では何の解決にもつながらない。
返って禍を拡大するばかりである。
この禍を地球人への警鐘と捉え、今こそ国境を取り払い「ワンチーム」となって、人類の危機を乗り越えよう。