宇都宮餃子と大谷石
全国旅行支援を利用して、栃木県宇都宮市に出かけた。
宇都宮というと思い浮かぶのは、やはり「餃子」である。
JR宇都宮駅前には、地元特産の「大谷石(おおやいし)」でつくられた「餃子のビーナス像」が設置されている。
20年以上前、栃木県内の営業担当をしていた頃、宇都宮のお客様が待ち合わせに指定したのは「ビーナス像」の前であった。
宇都宮市が餃子で有名なことなどつゆ知らず、「ぎょ、ぎょ、餃子のビーナス像ですか。
ビーナスが餃子の皮に包まれているのですか!?」と驚いてしまった。
宇都宮の餃子を知らない私を迎えに来られるなり、すぐさま「みんみん」なる餃子専門店に案内して下さった。
席に着くと「やき2,水(すい)2、ライス大盛1」と注文をした。
なんのことかと思いきや、焼餃子2皿、水餃子2皿のことであるという。
昼前から4皿も食べられるのかと戸惑っているうち早々に運ばれてきた。
早速食してみたところ、旨いこと旨いこと追加したい程であった。
水餃子を知らなかった私は、餃子の茹で汁も飲むものだと思い込みすすってしまった。
こりゃ失敗。
味の無いお湯だったことが今も忘れられない。
あれから月日がたち、思い出の餃子の街にやってきた。
餃子ストリートにある有名店に入ろうとしたが、どこも行列しており駅から車で10分程離れた宇都宮餃子を謳う店に入店してみた。
2,3組が順番待ちをしていたが、10分もしないうちに案内され、早速、名物佐野ラーメンと餃子5個入りを注文した。
これがまた旨い。
通常より大きめの餃子には、野菜多めのスープたっぷりで、口いっぱいに広がるニラの香りがなんとも言えない美味しさ!
噂にたがわぬ宇都宮餃子である。
ちなみに「餃子」という字の隠された秘密を、とある餃子店のお女将さんに聞いた。
「餃子という字は、食偏に交わると書き、その次に子と書く。食して交われば、子が授かる」とのことである。
上手いこと言うものだと感心した。
餃子の具材には、ニンニク、ニラといった精力がつきそうな材料が入っているので、意外と当たっているのかも知れない。
恐るべし。
餃子のビーナス像に使われている「大谷石」も宇都宮の特産品である。
大谷石は火山灰が長い年月をかけ堆積して固まったのもので、宇都宮北西部大谷一帯で多く採れる鉱石である。
この地に多く存在する理由はわかっていないようだ。
大谷石の特長は、
①火に強く、軽い
②石質が柔らかく加工しやすい
③独特なやわらかな風合いから優れた、高級感のある建築材として利用できる
④多孔質構造に加え成分に含まれるゼオライトには、防湿、防カビ、防臭効果がある
⑤吸音効果も高く、優れた音響効果を持つ等々。
市内には大谷石採掘場跡に「大谷資料館」がある。
地下坑内は東京ドーム1個分の広さがあり、狭い階段で地下30mまで降りていくと幻想的な地下空間が広がっている。
鍾乳洞に似た雰囲気であるが、採掘場であったため、直線で形成された人工的な整然とした神秘的空間が続く。
さながら古代神殿の様である。
その独特な空間は、映画、ドラマ、ミュージックビデオの撮影に頻繁に使われている。
最近は、結婚式場としても利用されているという。
宇都宮市内には、大谷石を使った壁や家屋、蔵を多く見ることができる。
宇都宮市中心地に建つ「カトリック松が峰教会」は大谷石を使った建築としては最大の規模である。
ロマネスク様式の聖堂で二つの塔を持つものは珍しく、国の登録有形文化財にも指定されている。
身近にある文化財を更に探して訪ねてみたいと思わせる荘厳な建築であった。
次は何処へ行こうかな。