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必殺技「熱殺鉢球」

弊社のお客様で、排水管清掃業の他に害虫駆除を生業とされている方から、スズメバチ退治の話を伺った。
派手に駆除をする仕方がマスコミ受けする昨今だが、そのお客様は自然に害虫が居なくなる手法で駆除を行うという。
そのやり方は企業秘密ということで詳しくは聞けなかったが、害虫や害獣との戦いについて貴重な話を聞くことができた。

その折、ミツバチがスズメバチを退治する必殺技がある事を知った。
以前にもTVのドキュメンタリー番組で放送されていたことを思い出した。
必殺技と聞くとプロレス技を思い出すのだが、大自然が生み出した仲間を守るため、死を賭して戦う術のことである。

秋になるとニホンミツバチは、越冬のため花の蜜集めに精を出す。
巣にはたくさんの子供たちもいる。
そこに、天敵である肉食のオオスズメバチが捕食にやって来る。


ひとたびオオスズメバチの群れに襲われると、ひとたまりもない。
一瞬にして巣は全滅してしまう恐れがあるため、ミツバチたちは力の限り防衛する。
しかし、オオスズメバチの体は50㎜もあるのにミツバチは12㎜程度なので成す術なく嚙み殺されてしまう。
生き残るためにミツバチ達は勇敢且つ巧妙に知恵を絞り、オオスズメバチを撃退する技を会得したのである。

それが「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」である。
まず偵察に来たオオスズメバチの放つフェロモンを察知すると、オオスズメバチをおびき寄せる行動をとる。
そこに勇気ある働きバチが襲い掛かり、その後一瞬のうちに数百匹でオオスズメバチを包み込んでしまう。


そしてミツバチ達は力の限り胸の筋肉を激しく動かし、羽を震わせ体温上昇と羽の摩擦熱で50度に近い蜂球を作り出し、オオスズメバチを一気に蒸し殺してしまう。
オオスズメバチの致死温度が45度であるのに対し、ミツバチはそれ以上の温度に耐えられる体であるがゆえ、可能にした防衛術なのである。
最初に立ち向かった数十匹は噛み殺されるという犠牲は出るが、巣を守ることができるのである。
ここで重要なのはオオスズメバチの群れに襲われる前に、偵察役を必殺することである。
驚くことに次の偵察役が来る前に最初の偵察役が残したフェロモンの匂いを消すために、強い匂いのある葉を巣にこすりつけ、痕跡を消すという念の入れようである。

しかし、この必殺技のダメージは十数匹が噛み殺されるだけではない。
熱殺蜂球に参加したミツバチは、必要以上の運動を強いられたことや通常よりも高い温度にさらされたことによって、寿命が1/4にまで短くなってしまう。
子孫を守ることとはいえ涙ぐましい行動である。

また、この短命化したミツバチは、次のオオスズメバチの襲来時には、率先して返り討ちに合う可能性の高い役割を担うことも分かっているのである。
大自然の成す本能といえばそれまでだが、生き物の偉大さを感じる。

ちなみにこの必殺技は、「ニホンミツバチ」の特性であり、「セイヨウミツバチ」には見られない行動である。
セイヨウミツバチの祖先が居た環境には、スズメバチのような天敵が生息していなかったためと言われている。

自己犠牲は強いられてするものではない。
特に戦時を考えれば明らかだ。
自分を大切にすることはもちろん大事である。
しかし、それが過ぎると自己中心的になってしまい、世界が成り立たなくなる。
ミツバチに学ぶことは多い。