房州名物
名古屋勤務を終え、千葉に住んでから25年になる。
生まれてから結婚するまで横浜市に住んでいたが、それとほぼ同じ期間を千葉市で過ごしたことになる。
千葉はご当地食材が豊富である。
農産品では、落花生が代表的であり、八街産「千葉半立(ちばはんだち)」が有名で、平成19年に品種登録された「おおまさり」というジャンボ落花生は、40分程塩ゆですると、ほくほくして非常に美味である。
加工品ではピーナッツ最中、ピーナッツ味噌、ピーナッツサブレ等がある。
鯛せんべい、ぬれせんべいもメジャーになってきている。
富里市産のスイカは童謡「スイカの名産地」でも歌われているほどで、千葉県の生産量は熊本県に次いで全国第2位、肉厚で大粒の「房州びわ」は栄養たっぷりで皇室献上品にもなっている。
海産物も有名で、銚子港のイワシ、サバの水揚げ量は全国TOPクラスである。
伊勢海老の漁獲量は三重県に並ぶ産地としても名高い。魚料理も色々あり、獲れたてのアジやイワシ、サンマなどを包丁でペースト状になるまで叩いて味噌をつけて食べる「なめろう」。
あまりの美味しさに皿まで舐めたくなるのでこの名がついたと言われている。
「なめろう」をアワビの殻に入れて焼いて食べる「山家焼(さんがやき)」は、生魚を山の中でも食べられるように工夫されたものである。
また、今では殆ど流通しなくなったクジラの肉も南房総では珍しくない。
鯨肉を特製ダレに漬け込んだ「くじらのたれ」や鯨ベーコン、竜田揚げは酒の肴にぴったりである。
ご当地ラーメンも数多くある。ラー油をたっぷり使用した醤油味スープで、鮮やかなオレンジ色がきれいな「勝浦担々麺」、富津市竹岡漁港地区発祥の「竹岡式ラーメン」。
この特徴はチャーシューを煮込んだ醤油ダレに麺の茹で汁をそのまま入れた真っ黒なスープにチャーシューと玉ねぎがたっぷりトッピングされている。
食べると昔懐かしい味がする。
千葉の名産品は数あるが、「はばのり」と聞いてピンとくる方は少ないのではないだろうか。
海苔の仲間ではなくコンブの一種で、秋ごろに胞子を放出し、海水温が冷たい時期に長さ15㎝、巾3㎝程度に成長する。年末に千葉県九十九里側の勝浦、鴨川、銚子等の岩場で収穫し、天日干しされ板海苔と同じ大きさに型取られる。
年末から年始にかけてスーパーの店頭に並び、2枚入り3千円くらいのやや高値で売られている。
房総地方では縁起物とされ、正月にお雑煮に混ぜて食されることが多い。年の初めにこれを食べると「1年間巾(はば)を利かせる」ことができるとゲンを担ぐ意味もあるようだ。
「はばのり」は、普通の海苔に比べ表面はデコボコで穴だらけ。
見た目が悪く流通しづらいため、昔は地元の漁師の間だけで消費されていた。
それが希少性の高い縁起物として、上総地区の主に山武群を中心に房総半島全域に広がりを見せ今に至る。
千葉に引っ越して来た時は、これは何だろう、どうやって食べるのだろうと疑問に思っていたのだが、今年の正月に初めて定番の雑煮に入れて食べてみた。
味は、磯の香りが強く感じられ、塩加減も程よく、高級感も漂わせており非常に美味である。
火で炙ると酒の肴に打って付けである。
うどんやそば、ご飯にかけて醤油を垂らせば旨い事この上ない。
気になるのは、この高値が全国に流通しない一因ではないだろうか。
1月も半ばになると、半額で売られることもある。
ご興味のある方、味見はこの時期がおすすめである。
はばのり
はばのりかけご飯といわし
房州びわ
鯛せんべい
おおまさり
ぬれせんべい
なめろう
くじらのたれ
山家焼
ピーナッツ最中
(出典:農林水産省webサイト)