日本酒は悪酔いするのか
年齢を重ねるにつれ、日本酒が好きになって来た。
若いころに悪酔いしてから、日本酒は敬遠しがちという方は多いのではないだろうか。
友人に酒豪のMさんがいる。
そのMさんでも日本酒は翌朝に残るからとあまり口にしない。
本当に日本酒だけが悪酔いや二日酔いし易いのか長年の疑問である。
日本酒を飲んだ翌朝は、のどの渇きで目が覚めることがよくある。
これと悪酔いは関係あるのか調べてみた。
何故のどが渇くのか。
これには諸説あった。
①アルコールには、利尿作用や体温を上げる効果で発汗が促され、水分が体外へ排出されやすくなる。
②アルコールによって体内細胞の脱水症状を回復させる。これは、細胞の外側の水分濃度がアルコールによって高まると、細胞の内側から水分が外側に滲み出て行ってしまうことで水分補給が必要となる。(塩辛いものを食べるとのどが渇くのと同じ)
③日本酒には、他のアルコールよりも多く糖分が含まれており、体内の糖分濃度が高くなることで、のどが渇く。
日本酒に限らず、アルコールを大量に摂取すると水分が多く奪われるが、特に日本酒は糖分量が多いことでのどの渇きが著しいことがわかる。
では、すべての日本酒に糖分が多いということなのかというと、決してそうではない。
日本酒の種類にもよる。
本酒は、まず特定名称酒と普通酒に分けられる。
特定名称酒は更に純米酒、吟醸酒、本醸造酒に分かれる。
純米酒は米と米麹、水のみで造られ、吟醸酒と本醸造酒には、これに醸造アルコールが添加されている。
これらは精米歩合によって更に分けられる。精米歩合とは、原料となる米を玄米の状態から、表面を削って雑味となるたんぱく質、脂質、でんぷん等を取り除く度合いのことで、50%以下が大吟醸酒、60%以下が吟醸酒、それ以上に分かれる。
精米歩合が高い(%が低い)ほど味わいは淡麗でスッキリとしている。
米を磨き上げる時間と手間がかかるということは、それだけ高級酒ということになる。
さて、日本酒の糖分量だが、本醸造酒=添加物=糖分というわけではない。
添加物にも、分量や種類に決まりがあり、日本酒の味わいを調整するために添加されているので、一概に悪者扱いしてはいけない。
少し糖分の多い添加物が混ざっているという程度であり、のどの渇きの最大原因とはいえないのだ。
この結果から、日本酒だけが悪酔いするのではないことがわかる。
日本酒に限らずアルコールを飲み過ぎれば、のども渇くし、二日酔いにもなる。
体のためにも、周りの人にも迷惑をかけないよう、飲み過ぎには注意しなくてはならないと常々思う。
せめてアルコールを飲むときには、同量の水を飲むことが大切である。
最近では、お店で日本酒を頼むとグラスに水を用意してくれることが多くなった。
これを「和らぎ水(やわらぎみず)」といい、洋酒にもチェイサー(追い水)があるのと同じである。
お酒のあとに水で一呼吸置くことで、深酔いすることを防げる。
是非お試しいただきたい。